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わずか26行の記事が、日本を揺るがした――。
前日の1日午後、政府が発表した松井秀喜氏(38)、長嶋茂雄氏(77)への国民栄誉賞の授与。 同日付の紙面で正式決定を「スクープ」したのは、群馬県の地方紙・上毛新聞だった。 発表を受け、メディア報道は「ゴジラ&ミスター」一色に塗りつぶされ、そして何より政府自らが対応に追われた。 地方発の、まさに歴史的スクープだった。 1日午後3時18分。共同通信社による速報を伝えるチャイムが社内に鳴り、「番外」の記事が配信された。 松井、長嶋両氏への国民栄誉賞授与。 「やった!」。 群馬県前橋市 上毛新聞社3階の編集局報道本部では拍手が起こった。 「わが社にとっても、いまだかつてないようなスクープ。 騒ぎになるとは思ったが、実際にこんな大騒ぎになるのかと…。正直驚いている」。 報道機関の中でただ1社のスクープ。 編集局幹部の一人は2日、一夜明けても興奮を隠せない様子で話した。 上毛新聞。公称約31万部の、いわゆる「地方紙」だ。 県内各地に支局を置き、東京にも支社がある。 同幹部は「取材の細かい経緯は答えられない」としたが、記事には自信があった。 しかし1日午前、菅義偉官房長官ら政府高官は上毛新聞の報道を一度は否定。 「エープリルフールだ」とまで言う関係者もいた。 それでも同社編集局では、誰もが信じて待った。 「政府も慌てているのかも…」。 そして正式発表。大スクープをものにした。 ▽上毛新聞社 群馬県の県域地方新聞社として1887年(明20)創業。新聞発行や出版事業の他、文学賞やマラソン大会、美術展などのスポーツ、文化事業を展開。「上毛新聞」の発行部数は約31万部で、県内では約4割が購読。大手全国紙を上回るシェアを誇る。作家・横山秀夫氏は同社OBで、代表作「クライマーズ・ハイ」は記者時代の経験に基づき執筆した。資本金3648万円、従業員385人(12年4月現在)。本社所在地は群馬県前橋市古市町1の50の21。 |
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